「明日も、ここに咲いてるかな?」
だいふくーが、道端の小さな花を見つめています。
隣にいたかしわんが答えました。
「きっと咲いてるよ。」
「じゃあ、明日も見に来ようね。」
ふたりは、小さな約束をしました。
翌日。
だいふくーがその場所へ行くと、かしわんはもう待っていました。
「覚えててくれたんだ!」
「うん。約束したからね。」
今日の「夜もっち」は、そんなお話です。
特別な出来事ではありません。
大きな約束でもありません。
道端の花を、明日も一緒に見に行く。
ただ、それだけです。
でも、僕はこの場面を書きながら、あることを考えました。
人から信頼されるというのは、いったいどういうことなんだろう。
今日は、そんな話です。
「約束したからね。」という言葉。
かしわんは、特別なことをしていません。
花を買ってきたわけでもない。
だいふくーを驚かせる準備をしたわけでもない。
ただ、昨日約束した場所に来ただけです。
でも、だいふくーは嬉しかった。
なぜでしょう。
それは、自分との約束を覚えていてくれたからだと思います。
「明日も来ようね。」
何気なく交わした言葉。
その言葉を、相手が大切にしてくれていた。
自分にとっては小さな約束でも、相手にとっては嬉しい出来事になる。
人と人との関係には、そんな瞬間があります。
約束の大きさと、そこに込められた気持ちの大きさは、必ずしも同じではない。
そんなことを感じます。
33年間の会社員生活で見てきたもの。
僕は33年間、会社員として働いてきました。
その間、本当に多くの人と出会いました。
仕事ができる人。
話が上手な人。
発想が豊かな人。
行動力のある人。
いろいろな人がいました。
もちろん、仕事では能力が大切です。
知識も必要です。
経験も必要です。
でも、長く働いているうちに、もう一つ大切なものがあると感じるようになりました。
それが信頼です。
どれほど立派なことを話していても、約束を守らない人には、なかなか仕事を任せられません。
逆に、派手なことを言わなくても、頼んだことをきちんとやってくれる人がいます。
期限を守る。
連絡を返す。
分からないことは、分からないと言う。
できない時には、早めに伝える。
そんな当たり前のことを、当たり前に続けられる人です。
僕は、そういう人に何度も助けられてきたと思います。
大きな成果だけでは、信頼は生まれない。
仕事をしていると、どうしても大きな成果に目が向きます。
売上が伸びた。
目標を達成した。
新しい企画が成功した。
もちろん、それは素晴らしいことです。
でも、大きな成果を一度出したからといって、すべての人から信頼されるわけではありません。
日頃の小さな行動が、意外なほど見られているからです。
例えば、打ち合わせの時間を守る。
約束した資料を届ける。
相手からの質問に、きちんと答える。
間違えたら、素直に訂正する。
どれも、当たり前のことばかりです。
でも、当たり前だからこそ、続けるのは簡単ではありません。
忙しい時もある。
気分が乗らない時もある。
別の仕事に追われることもある。
そんな時でも、小さな約束を軽く扱わない。
信頼は、目立つ一回より、目立たない百回で作られる。
僕は、そう思います。
会社を辞めて、気づいたこと。
会社員だった頃は、会社という大きな看板がありました。
名刺があります。
肩書きがあります。
組織の信用があります。
もちろん、その中で個人として信頼されることも大切です。
でも、会社を辞めると状況が変わります。
自分で会社を作る。
自分で商品を考える。
自分でお客様に届ける。
自分で責任を持つ。
MINIBAKKAを始めてから、改めて感じたことがあります。
小さな会社にとって、信頼は何より大切な財産だということです。
大きな広告予算があるわけではありません。
全国に店舗があるわけでもありません。
長い歴史を持つブランドでもありません。
だからこそ、一つひとつの商品、一つひとつの対応が大切になります。
MINIBAKKAにとっての「ちゃんと」。
MINIBAKKAは、MINIを愛する人たちのためのブランドです。
ローバーミニ。
BMW MINI。
同じMINIという名前でも、モデルによって姿は違います。
ヘッドライト。
フロントグリル。
ボディライン。
窓の形。
バンパー。
ホイール。
MINIが好きな人にとって、その違いは大切なものです。
例えば、ローバーミニを描いたつもりなのに、実際の車とは違う形になっていたら。
詳しくない人には分からないかもしれません。
でも、MINI乗りには分かります。
「ここが違う。」
そう感じる人もいるでしょう。
だから、デザインを作る時には、実車への忠実さを大切にしたい。
かわいく描くことはできても、車の特徴まで勝手に変えてはいけない。
これは、MINIBAKKAとして守りたい約束の一つです。
お客様が期待しているものを、きちんと届ける。
言葉にすると簡単ですが、実際には細かな確認が必要です。
好きな人だからこそ気づく部分を、作る側が軽く扱ってはいけない。
そんなことを、日々感じています。
毎日投稿することも、小さな約束。
MINIBAKKAでは、日々SNSで発信しています。
そして夜には、「もっちもちMochies」を届けています。
夜9時の「夜もっち」。
だいふくーが旅をして、仲間と出会い、小さな出来事を経験する。
毎日、大事件が起きるわけではありません。
むしろ、何でもない日の方が多い。
でも、だからこそ続けたいと思っています。
いつか誰かが、
「今日も、だいふくーに会えるかな。」
と思ってくれるかもしれない。
忙しい一日の終わりに、少しだけ読んでくれるかもしれない。
そんな人が一人でもいるなら、毎日届けることには意味があります。
もちろん、毎日投稿しているだけで人気が出るわけではありません。
内容を磨く必要があります。
キャラクターを育てる必要があります。
読んでくれる人の気持ちを考える必要もあります。
でも、その土台にあるのは、やはり続けることだと思います。
「今日もある。」という安心感も、作品の価値の一つになる。
そんなふうに考えています。
Mochiesのキャラクターにも、守るべき約束がある。
Mochiesには、たくさんの仲間が登場します。
だいふくー。
ずんだー。
あべたん。
かしわん。
いそベー。
さくらん。
それぞれに特徴があります。
色が違う。
形が違う。
味が違う。
生まれた土地も違う。
そして、キャラクターには、その子らしさがあります。
だいふくーは、だいふくー。
ずんだーは、ずんだー。
別の絵になっても、別の場面に登場しても、その子だと分かること。
これは、物語を作るうえで大切にしたい部分です。
昨日までと姿が違っていたら、読んでいる人は戸惑うかもしれません。
だから、定番の形を作り、少しずつ世界観を整えてきました。
これも、読んでくれる人との小さな約束なのだと思います。
「この子は、こういう子だよね。」
そう思ってもらえること。
その期待を大切にすること。
物語の中の信頼も、そんな積み重ねから生まれるのかもしれません。
約束を守れなかった時こそ、その人が見える。
ただ、ここで一つ考えたいことがあります。
人は、いつも完璧ではありません。
僕だってそうです。
約束したことを、予定どおりにできない場合があります。
体調を崩すこともある。
予想外の出来事が起きることもある。
仕事が思うように進まないこともある。
大切なのは、守れなかったことをなかったことにしないことだと思います。
遅れるなら、伝える。
間違えたなら、認める。
できなかったなら、理由を説明する。
そして、どうすればいいかを考える。
信頼される人とは、一度も失敗しない人ではない。
失敗した時にも、相手に誠実でいようとする人。
僕は、そういう人でありたいと思います。
家族との約束は、つい後回しになる。
仕事の約束には、期限があります。
打ち合わせの時間があります。
お客様が待っています。
だから、守ろうとします。
でも、家族との約束はどうでしょう。
「今度、一緒に行こう。」
「またゆっくり話そう。」
「時間ができたら、やろう。」
そんな言葉を、何気なく口にすることがあります。
そして、忙しさを理由に、後回しにしてしまう。
仕事の約束には敏感なのに、身近な人との約束には甘くなる。
そんなことはないでしょうか。
僕自身も、振り返れば考えさせられることがあります。
家族だから、分かってくれる。
家族だから、待ってくれる。
でも、家族だからこそ大切にしなければならない約束もあります。
大きな旅行でなくてもいい。
特別な記念日でなくてもいい。
一緒に食事をする。
少し話をする。
頼まれたことを忘れない。
そんな小さなことが、日々の安心につながるのだと思います。
58歳になって、約束の意味が少し変わった。
若い頃は、大きな約束をしたくなるものです。
いつか成功する。
もっと上を目指す。
大きなことを成し遂げる。
もちろん、今でも目標はあります。
MINIBAKKAを成長させたい。
Mochiesを広めたい。
小説も多くの人に読んでもらいたい。
挑戦したいことは、まだたくさんあります。
でも、58歳になった今、もう一つ大切にしたいことがあります。
それは、今日できることを、きちんとやることです。
明日の大きな成功を語る前に、今日の小さな約束を守る。
遠い未来の夢を語る前に、目の前の人に誠実でいる。
そんな毎日を積み重ねたい。
大きな夢と、小さな約束。
どちらか一方ではなく、両方を大切にしたいと思っています。
だいふくーとかしわんの、小さな花。
今日の物語に戻ります。
道端の小さな花。
だいふくーとかしわんは、明日も一緒に見に来る約束をしました。
翌日、かしわんは先に来ていました。
「覚えててくれたんだ!」
だいふくーが嬉しそうに言います。
「うん。約束したからね。」
たったそれだけの会話です。
でも、そこには大切なものがあります。
自分との約束を覚えていてくれる人がいる。
待っていてくれる人がいる。
言ったことを、ちゃんと行動にしてくれる人がいる。
それは、思っている以上に嬉しいことです。
そして、そんな経験を重ねるうちに、
「この子となら、また約束したい。」
と思えるようになる。
信頼とは、きっとそうやって育つものなのでしょう。
明日も、ここに来よう。
花は、いつか散るかもしれません。
雨が降る日もあるでしょう。
予定どおりに会えない日もあるかもしれません。
でも、今日交わした小さな約束は、ふたりの中に残ります。
そして、その約束を大切にした経験も残ります。
僕たちの毎日も、同じです。
大きな出来事ばかりが人生を作るわけではありません。
時間を守る。
返事をする。
ありがとうを伝える。
間違いを認める。
今日やると言ったことを、今日やる。
そんな小さな「ちゃんと」が、少しずつ人との関係を作っていく。
会社でも。
家族でも。
友人でも。
そして、これから出会う人たちとの間でも。
信頼は、大きな約束より、小さな「ちゃんと」でできている。
だいふくー。
明日も、かしわんと花を見に行けるといいね。
そして僕も、明日の小さな約束を大切にしよう。
今日も、もちもち。🍡
なんでもない日が、いちばんいい。
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